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【陽の雫 1】 惑星

遠い遠い昔……地球が生まれる前、あるいは地球という惑星が存在しない、べつの銀河系でのこと。


その惑星の名は、ヴェールと言った。

宇宙から帰還する戦艦の窓を覗くと、その星は青緑の美しい球体に見える。
巨大な恒星、太陽からの距離は近くもなく遠くもなく、陽光は広い海と大地に暖かく降りそそいで生命を育てている。

惑星をめぐる月を見やりながら、白い雲を抜けて中央(セントラル)と呼ばれる地区へ。
まず目を惹くのは、広大な外苑の森を抱えた大きな神殿、そしてその正門からまっすぐに東の港まで伸びる、太い旧参道。
神殿の両脇、大通りの北側に軍司令部、遊歩道を兼ねた中央分離の緑地帯と数車線の道路をはさんで、南側には司法行政部がある。
官公庁の建物をすぎると、港へむけてショッピングモールなどの行楽・商業施設、賑やかな街並みが続く。

司令部に近い軍事用のエアポートが、ドックを空中にうかばせて待機しているのが見えるだろうか。

上空から見渡すと、いくつかの尖塔を除いてそれほど高い建物はない。建物はおしなべて低層であり、郊外には中世風の邸宅もある。クリスタル様の素材が多用され、また地下の開発も盛んである。
気候風土は穏やかで、街の中心部に広大な森を抱えているからか、いたるところに緑があって人々の目を和ませている。

しかし一見のどかな風景にもかかわらず、ヴェールでは戦争が日常化していた。

王権のない民主主義の社会だったが、システムの中心には軍部が据えられ、いつもどこかと、なにかと戦っていた。
なのに雰囲気がゆるやかなのは、戦いがあまりにも日常化して心が麻痺し慣れすぎてしまったため、そして発達した科学は宇宙への進出を可能にし、戦いの多くは宇宙空間で行われるためもあるだろう。

人々は科学を使う一方で、神というエネルギーも信じていた。
サイキックも多く、超常能力や魔法を使える人間も、それを特殊技能のひとつとして普通に生活していた。

街そのものは、元は神殿を中心にして発展したものらしい。
中央には星全体をまとめる大神殿があり、そのほかの地方都市にも必ず小さな神殿がある。
そこには神官や巫女が常駐し、祭祀やヒーリングを行う癒しの手となっていた。
また、神官にはエネルギーを操る能力が必要とされるため、強いサイキックを訓練する施設としての機能も受け持っていた。

神殿を囲む広い森の内部はエネルギー的にも外界と隔てられ、感受性の強すぎるサイキックを人と離して訓練するに良い場であり、また各地を結ぶエネルギーグリッド網をまとめる中心部分でもあった。


社会システムは軍部を中心に動いており、神殿は通常意見をさしはさむことはない。だが一方で、多くの人々の心を集め、神聖不可侵の存在として畏敬されていた。

軍部と神殿。
科学と魔法。

一見対極のようなそれぞれが、この社会を構成する柱である。



セントラルを擁する大陸は温暖で、春夏秋冬の季節をもつ。
春から夏に移るときには、断続的ながら短い雨期もあった。

毎年夏至の日からほぼ45日間、中央の大神殿では大祭が催される。
日を追って行われるいろいろの行事が、盛り上がって佳境となるのは大暑のころだ。
外苑の公園が解放され、公園にも沿道にもたくさんの出店が立ち並び、多くの人が集まってかなりの賑わいになる。
各地の小神殿でも日をあわせて祭祀が行われ、人々の間で「祭り」といえばまずこの大祭をさした。

これが終われば翌日は立秋。過ごしやすい季節がやってくる。

それから冬至の日の冬越えの祭り。
今は目抜き通りとなっている参道をまっすぐに太陽がのぼってくる春分と秋分にも祭りが行われたが、これは神殿内での祭祀という色が濃く、人々は静かに平安を祈って過ごすのが慣例である。


戦艦がゆっくりとエアポートに近づいてゆく。

見慣れてはいてもやはり勇壮な光景を、子供や少年たちは目を輝かせて、家族を戦地に送った者たちは祈るような目で、それぞれに見守っている。

いつから戦いが始まり、いつまで続くのか、誰にもわからない。
勝って何を得ようとしているのかすら、本当には誰もわからないのかもしれない。

人々はただ、続く戦乱の世をそれぞれに生き抜くしかなかった。
さまざまなすれ違いや誤解が生まれ、憎しみや悲しみが連鎖してゆくさまは、長く遠い目で見れば分離の時代の典型であったろうか。

空中に浮かんだ専用ドックが、花弁のように展開して戦艦を収容する。

視界から艦が消えると、家族を待つ人は温かい食事を作るために家路を急いだ。

戦いが日常であっても、人々は食べ、飲み、語り、恋をしそして愛した。
たくさんの大切なものを喪いながら、怒り、泣き、それでも笑った。



せいいっぱいに人々が生きたところ。

ヴェール、生命をたたえる緑の杯。


















<Lifia - Drops of sun ->
http://blog.goo.ne.jp/hadaly2501/e/b20cba466168d3e2fb11ad3009909197




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◆【銀の月のものがたり】 道案内

◆第二部【陽の雫】目次



本編の前にさらっと惑星概略を・・・と思ったらこれが難しく orz
一週間もかかってしまってすみません。
人の出てこない部分は、私には難しいです…。

第二部になって、目次もあふれてきましたので(笑)
「道案内」ページを新しく作ってみました♪




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こんばんわ♪ 

今日みた私の夢の話しなんですけど、

私は軍人で飛行部隊の隊長を務めており、毎日を必死に戦っていました。戒厳令というのか、民間は完全に隔離されている状況でしたが、ある日の両者の交流パーティに出席したおり、民間のジャーナリストのような男が大声で「本当は戦争なんかやってないんだろ!」と叫びました。我々は必死で市民を守っているのに、別世界過ぎてこうも現実味がないのかとそれが私にはとてもショックだったのを起きてからも覚えています。

ヴェールの恒久的な戦争状態で麻痺している感が、夢で見た様相と似てたのでつい、コメントしてしまいました^^
  • posted by ラバロ 
  • URL 
  • 2009.11/24 23:29分 
  • [編集]
  • [Res]

Re:【陽の雫 1】 惑星(11/24) 

目で見たものを言葉だけで説明すること自体すごく大変なのに、
それを読み手にも鮮やかにイメージできるように
美しい文章で語ってくださる
さつきのひかりさんの力量は、いつもながら本当にすごいです。

銀月を読んで、自分もかつてそこにいたことを思い出す人も、きっといらっしゃるんでしょうね。
  • posted by たまねぎ 
  • URL 
  • 2009.11/25 08:42分 
  • [編集]
  • [Res]

おへんじ 

>ラバロさん
そうですよね。あまりにも戦いが恒久的で、あまりにも民間から離れていると、そんな事態にもなるのでしょうか。
市民の中には、家族を兵隊に出した人はいないのかな? とか思ってしまいますが。。
戦いはいやですね。



>たまねぎさん
ありがとうございます♪ 恐縮です。
元ヴェール星人(笑)、もしかしたらけっこういらっしゃるのかもしれないですねえ。
そういうご縁もあるのかもですね。
  • posted by さつきのひかり 
  • URL 
  • 2009.11/26 10:35分 
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物語を書くこと、一斉ヒーリングをすること、それに太極拳とケルトハープが趣味♪
最近はワイヤーワークにもはまり中。

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ルシフェルの翼Calling You 開発者。
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