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【銀月物語 84】 はじめの一歩

光のブレスレットをつなぐのに足りなかった「黄色」。
それが人の意思であるかもしれないという結論から、少女は練習を決意した。

トールは言わずもがな、デセルもエネルギー調整を専門とする技術者だし、自分だけがエネルギーを自発的に扱うことに慣れていない、という事実に気がついたのだ。

練習といっても「生きている人間の意思」が必要となるならば、三次元の本体同士でもタイミングを合わせなくてはならない。その調整をとる間、彼女はまずステーションの魔法学校で、トールの教えている神聖幾何学を学ぶことにした。
いたずらもせず真面目に授業を聞いている少女の姿に、同じクラスにいるジョゼが目を丸くしている。

トールもデセルも、少女が発案した計画の実現のために、着々と準備をすすめてくれていた。
「それ、本当にできると思っているんですか?」と苦笑するような計画であっても、馬鹿にしたりせず激務の間をぬってタッグを組んでくれている。少女は知らなかったが、マリアが評した通りであった。
そして実際、最初はただの夢物語に思われたものが、こまごまとした技術的なサポートや実験を重ねることによって、かなり具体的な話にまで高められてきている。

だとしたら、自分もできることはやりたい。男達の背中を見て、そう彼女は思った。
少女の計画のためには神聖幾何学は最低限必要であったから、きちんと勉強しておいて損はないはずだった。


それから三次元のほうでも、タイミングを合わせて練習が始められた。時差があるのでなかなか難しいのだが、なんとか合う時間帯を見つける。
トールの本体はすでにエネルギーワーカーであるため、基本的には少女のほうが、寝落ちせずにエネルギーを扱うことが当面の目標となった。
先日の夏至ではなんとかうまくいったが、当初は天使エリアの瞑想部屋で仕事をしようとしても、大きなエネルギーが流れてきた時点でぱったりと寝落ちてしまい、そこで終了だったからだ。

最初の練習の日、約束の時間にトールは少女のもとを訪れた。
少し話した後、ヒーリングをするときのように根源に繋いでそのエネルギーを流しはじめる。
少女のクラウンチャクラから、通常のエネルギーラインとはまったく違う太い光の柱が入ってゆく。
一度目は首の上のほうで止まって終了。どうやらブロックがあるようだ。少しおいて二度目の挑戦では、喉をこえてハートに至る前にまた止まってしまった。

「痛い?」

「ううん、大丈夫。不快でもないよ。なんか……なんだろう、大掃除したような、すごくすっきりした感じ」

少女の答えにトールは微笑む。しかし今日はここまでだな、と彼は思った。急いで仕損じては意味がない。
トールと手をつないだまま、少女がわっ、と声を出した。

「まただ。目の前がベニトアイトの色に染まっちゃったよ」

中空を見ながら、きれいだなあ、不思議だなあ、と大きな瞳をぱちくりさせている。彼女の瞳には一面に明るい青が映っているようだった。

「エネルギーを重ねているからね。こちらはエメラルド色に染まっているよ」

トールは笑って続けた。

「じゃあ、今度は広げてみるからね。あわせてごらん」

彼の言葉とともに、ハートに満ちたエネルギーがふんわりと広がってゆく。
少女は自分を包む青と緑のエネルギーの海の中、二人で宇宙空間に浮いているような気持ちになった。
彼女が後で好転反応に苦しむことがないよう、トールが慎重に、慎重に、と少しずつエネルギーを広げてくれているのがわかって、少女はつい、うふふ、と笑ってしまう。
彼だけだったら、きっと一気にものすごいエネルギーが広がってゆくのだろう。

その心配りのおかげか、練習が終わって通常の意識に戻った本体は驚いた。いつもだったら深く入った後はぐらぐらで数時間使い物にならないのに、まったくなんともなく車の運転ができたどころか、かえってしゃきっとしていて不思議なくらいだったからだ。



そして翌日。
その日は七夕で、しかも月食であった。
緑の少女は、トールとともにヒーリングに挑戦することにしていた。

トールの本体は、もう一年以上も毎週火曜日に一斉ヒーリングを行っている。今回はハイヤーセルフであるトールが六枚羽のセラフに復帰したのを記念して、セラフィムヒーリングをすることにしていた。
それを聞いた少女は、あたしもやる!と立候補したのだ。

「最初あたしやるから見てて!」

空の上とも中ともつかない白い世界で、開始時間になって少女は元気いっぱいに宣言した。
どうするのかな?という表情でにこやかにトールが見守っていると、彼女は自分の器にたっぷり溜めてきたエネルギーを流し始めた。

「おや。どこで溜めてきたの?」

「ないしょ」

少女は軽く舌を出した。けれど満ちたその波動には覚えがあり、世界樹のエネルギーをもらってきたのだな、とトールは見当をつけた。それならばヒーリングとして流しても問題はない。

彼女はとても大きい「空の器」を持っている。だから、その方法でもなるほど数十人ならば問題はなさそうだった。
しかし、トールの本体がいつも行っているヒーリングは、三次元に存在する人間の数だけで毎回千人ほど、目に見えない存在や先祖などまで含めれば、軽くその十倍をこえる。

「うーん……」

案の定、途中でキャパシティが足りなくなってしまったようだ。トールは彼女の傍にそっと歩み寄った。

「上下を昨日みたいに根源に繋ぐんだよ」

「わかんないよー、それ」

「じゃあ一緒にやってみよう。手を貸してごらん」

両手を繋いで、トールはエネルギーを降ろしはじめた。大きく広げた六枚の羽が、降ってくるエネルギーを浴びてきらきらと輝きはじめる。受けて増幅する力の種類など、羽の対ごとにも役割が微妙に違うようだった。
しばらくそうして、トールは少女に微笑んだ。

「さて、このままやっているとあなたにはまだちょっと辛いから。後は見ていてね」

静かに手を離し、二十歩分ほども離れる。
くいと天上を見上げ、大きな翼を思いきり広げると、先ほどとは比べ物にならないほどのエネルギーの奔流が、大きな滝のように流れ落ちてきた。
羽が増えたからか昨今のスパルタで上下ともに鍛えられているからか、その太さも以前よりかなり拡大している。
あまりの規模の違いに目をしばたたきながら、少女はつぶやいた。

(すご……これがトールがいつも降ろしてる光?)

神殿で見た何倍もの大きさの光の滝が、彼めがけて落ちてきているようだ。
銀の髪と白い翼が光をうけて、きらきらと輝いている。彼はその中で、穏やかな瞳でその光を受け取る人々に伝えていた。

(光を分け与えてくれる存在があり、受け取ってくれる存在がある。だから私はその橋渡しとして立つことができるんだよ)

そんな心話が届く。

(ねえ、やっぱりあたしも一緒にやりたい)

我慢できなくなって少女は伝えた。光の滝の中で彼が振り返り、しかたがないなと微笑んで手を差し伸べてくれる。
少女はその手をとって、やわらかで暖かい光の奔流に足を踏み入れた。

しかし、そのままではやはりまだ流せないし、彼女のラインのブロックは外れていないから痛みが出てしまう可能性がある。

トールは優しく少女を抱きしめてエネルギーをあわせた。融合したエネルギーフィールドを操作し、彼女の負担が少なくなるよう、光の大半を自分自身を通して流す。

昨日の瞑想練習とあわせて、それは小さな一歩だったかもしれない。

けれども、確かになにかが動き始めていた。















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◆【銀の月のものがたり】 道案内

◆第一部 目次

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Comment

Re:【銀月物語 84】 はじめの一歩 

はぁ~、あの七夕ヒーリングこんな風にして行われてたんですね~。
やはりツインだからでしょうか、トールさんお一人の時より、緑ちゃんも加わった時の方が力強く感じました。
緑ちゃんが力を操るのが上手くなったら、どんなものになるのか‥今から楽しみです。
  • posted by ネコ長 
  • URL 
  • 2009.08/06 14:55分 
  • [編集]
  • [Res]

ありがとうございます☆ 

そっか、やり方が違って、試行錯誤してるの、当たり前だし、トレーニングってやっぱり必要。それでいいんだー!!!
なんていう、なんか物凄い当たり前のことに気がつきました。
緑ちゃんが、色々考えて、色々やってる姿に元気付けられました。サポートされてるトール氏もすごいなあああ…と思いながら。
最近「努力って、なんだろう?」って思ったりしてて。修行は必要ないけど、努力はいる気がする。でも、それって意味があるの?みたいな、よく分からんぽけっとに落ちてしまってましたが…。
みんな違うから、同じ事をやってもすぐ同じ結果ってことじゃないし、別に落ち込んだりしなくてもいいんだーって思えて、すごく楽になりました。
ありがとうございましたー。
  • posted by Berry the Mariel 
  • URL 
  • 2009.08/06 15:33分 
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Re:【銀月物語 84】 はじめの一歩(08/06) 

七夕デート、もといヒーリングの日はこんなふうにラブラブに過ごしてたんですね~。
とはいっても、この日はたぶん気持ちよーく寝落ちさせていただいたような気がしますが……。
ようやく(?)本気モードになった緑ちゃんを今後も応援したいです。
  • posted by たまねぎ 
  • URL 
  • 2009.08/06 18:03分 
  • [編集]
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Re:【銀月物語 84】 はじめの一歩 

はぁ~♪
ありがたやぁ~♪
ありがたやぁ~♪
恩恵を受け取るばかりですが
感謝の気持ちでいっぱいです
いつもありがとうございますo(^-^)o
  • posted by みかん&カエル◎^∇^◎ 
  • URL 
  • 2009.08/06 21:26分 
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Re:【銀月物語 84】 はじめの一歩(08/06) 

セラフィムヒーリング、まだ未経験なのですが、
こんな感じで行われていたのですね。
緑ちゃんがとっても愛らしくて、読んでいてほんわかしました(*^-^*)

そしてトールさんの操る滝のようなエネルギー、
神聖でいて、とてもダイナミックな情景なんでしょうね^^*
なんだか映画のワンシーンのように目に浮かびます♪

今度機会に恵まれましたら、是非受けてみたいです☆
  • posted by JUNO 
  • URL 
  • 2009.08/07 00:24分 
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Re:【銀月物語 84】 はじめの一歩(08/06) 

おお、感じた順番と同じで読んでてびっくり(笑)
所々流れが変わったのを覚えてます~
最後の方が特に強く、一番見たくないものを示されました…
効果凄かったですよー

本体さん達の努力もあって進められていく…
凄くありがたい事だなあと思いました、感謝!
  • posted by アポー 
  • URL 
  • 2009.08/07 09:18分 
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Re:【銀月物語 84】 はじめの一歩(08/06) 

そうなんですよね。いつもいつもこんな風に
私達にエネルギーを送ってくれているんですよね。
私はまだ感じることができないけど、
本当に本当に感謝します。
感動で涙がでてきちゃいました。

さつきのひかりさん、トールさん、緑ちゃん、
そして、見えないけど周りにいる皆さんへ。
心から、ありがとうございます。(^-^)


  • posted by asty 
  • URL 
  • 2009.08/07 10:58分 
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Author:さつきのひかり
物語を書くこと、一斉ヒーリングをすること、それに太極拳とケルトハープが趣味♪
最近はワイヤーワークにもはまり中。

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