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【銀月物語 85】 星合の夜に 1

七夕で月食の夜。
その日、ステーションではあちこちでパーティが催されていた。

当然トールの元にも招待状が届いていた。断ろうかと思っていた矢先、式典などでなく気軽なパーティだからぜひとも出席してほしい、とアシュタールから念を押されてしまった。

あの老人ときたら、最近泣き落としまで使うんだからな。トールはため息をつきながら、フレデリカが作ってくれた新品の服を纏って緑の少女の部屋へ行く。

今回、トール、緑の少女、デセル、マリアの四人が招待されていると知ったフレデリカは、気合を入れてユニットのような揃いの衣装を作ってくれた。
イメージカラーは、淡いやわらかなクリーム色に金。さし色には効果的に茶色を使っている。
トールのものはわりとかっちりしたクリーム色の燕尾服に、中にチョコレート色のベスト。同色のポケットチーフをさしている。ドレスシャツの白とチョコレートのカラーが、全体をすっきりとまとめていた。

「用意はできたかい?」

トールはノックをして少女の部屋に入った。
同じくクリーム色の、ふわふわしたシフォンのロングプリーツワンピースを着た少女が駆け出してくる。ウエストの高い位置での切替えと、ぷっくりした袖が全体的にふんわりした優しい印象を出していた。
トールと同じチョコレート色に加え、淡いスモーキーグリーンも使われたさし色が可愛らしい。

スカートの裾をつまんでくるりと回ってみせた少女に、とても似合うよ、とトールは微笑んだ。


その頃、デセルも自分の部屋で着替えを済ませ、マリアの部屋のドアをノックしていた。
デセルはトールと身長はほとんど変わらないが、体格が少しだけ細い。彼の服はどちらかというとユニセックスのような感じになっていた。トールと同じ淡いクリーム色の生地で、ウエストを絞ったXラインに近い華奢なデザインのスーツ、淡いベージュのフリルシャツ。胸元には濃い目の生成りの薔薇のコサージュを。
いつもそのままの前髪をぴしりとオールバックに整えて、シックな装いが長身によく似合っている。

時間ぴったりに部屋のドアをノックすると、緑の少女とお揃いのワンピースを着たマリアが現れた。
同じくふわふわしたシフォンのロングプリーツに、さし色がグリーンではなく、チョコレートと淡いスモーキーピンクになっている。

デセルは少し眩しい気持ちでまばたきした。二言三言、とりとめのない会話をかわし、用意してきたプレゼントを渡す。
それは、小さなペリドットで作ったピアスとペンダントのセットだった。

「まあ可愛らしい。ありがとう」

マリアがにっこりと笑う。ピアスをもうしていこうかしらと悩んで、フレデリカの店でヘアセットをしてもらうときに一緒にしよう、と大事に小箱を抱きしめた。

二人が部屋を出ると、ちょうどトール達が廊下に現れたところだった。そのままルキアを出て、まずステーションのフレデリカの店に向かう。
少女はうきうきとスキップで通路を歩き、くるくる回ってはスカートを広げて遊んでいた。
四人ともフレデリカがきちんと採寸して作っただけはあり、体型にぴったりだ。色は確かに派手ではないが、とても凝っているという感じがするし、男性陣もびしっと決まっている。
パーティスタイルの人々とたくさんすれ違ったが、四人のユニット衣装は目立つのだろう、あちこちで感嘆の声が聞こえた。

「まあああ! みんなよく似合うこと! 頑張って作った甲斐があったわぁ」

フレデリカの店に着くと、彼女は盛大な笑顔とハグで四人を出迎えた。

「今回のイメージはね、『チョコレートボックス』なのよ。楽しくて嬉しい宝箱。う~ん、我ながらナイスだったわ。さあさあ、カワイコちゃん達は最後の仕上げをしましょうね」

いそいそと店に招き入れる。女性陣はここでヘアメイクなどをしてもらうことになっていた。

三人が別室に行っている間、デセルはなんとなくそわそわしていた。
ふと横を見ると、落ち着き払った様子でトールが椅子にかけている。

(トール……それ、フリでしょ?)

心話を送ると、銀髪の友人は軽く苦笑して肩をゆすった。

(まあね)

やっぱり、と笑う。そうこうしているうちに、おめかしの済んだ姫君がたのご登場となった。

緑の少女は、大きなキラキラした髪留めで横をとめている。化粧らしいものはせず、少し光りものの粉をはたいて、グロスリップをつけたくらい。
エメラルドの瞳をきらきらさせて、紅潮した頬で笑顔がはじけるようだ。

「小さいぷぷちゃんは、くずれるからお化粧はしなくてよろし! でもマリアちゃんたら地味なんだものねぇ~。せっかくきれいなんだから、こういうときくらいはきっちり見せないと! さあぁどうよ!」

笑顔全開のフレデリカがマリアの背を押す。彼女は伏し目がちに出てくると、ぱっと顔を上げた。
長い銀髪を細いリボンで編みこみしてきれいにまとめ上げ、ダークグレーの長い睫毛にパールのシャドウ、ドレスと同系色のローズピンクの口紅。耳にはデセルの贈ったペリドットのピアス、喉元には、チョコレート色のリボンでチョーカー風にしたペンダントがきらきらと光っている。
男性二人がそれぞれに相手を見つめ、ほうとため息をついた。

「このピアスとペンダント、アンタが作ったんですって? やるじゃないの!」

フレデリカがデセルを褒めちぎる。はい、どうも、とやや上の空に彼は返事をした。

四人でフレデリカにありがとうのハグとキスをして、盛大に見送られながらパーティ会場へと向かう。


ステーションの共有エリアには、パーティ会場ばかりが集められた棟がある。これだけでも、どれだけ上世界で催し物が多いかがわかるといえよう。
今日はパーティが多いと聞いていた通り、あちこちがすでにとても賑やかだった。

会場に入ると、とてもたくさんの人が集っていた。
ドーム風の高い天井にホログラムで星空が投影され、七夕風の飾り付けがされている。
四人はあっという間に人々に取り囲まれ、挨拶の嵐にあった。

「今日はよく来たね」

「久しぶり。会えて嬉しいよ」

ハグされたり肩を叩かれたり、トールにもデセルにも、あまりにもたくさんの人が次々に握手をしてくるので、だんだん誰が誰やら判別ができなくなってしまう。
見ていた本体が驚いたことに、緑の少女はそつなく挨拶を返していた。握手して少し足をひき、膝を折る子供の挨拶ではあったが。
マリアのほうは何人もに手の甲にキスをされ、少し恥ずかしそうにしている。

「お着けになっているアクセサリ、とても良いものですなあ。どちらで?」

何人もの人がそう言って、虹だらけのペリドットの細工を褒めた。マリアはそのたびににっこりと微笑み、隣のデセルを振り返る。

「ありがとうございます。彼が作ってくれましたの」

「おお、彼が新しい技術主任ですか。なるほどこれは素晴らしい、さすがですな」

小さなアクセサリひとつでも、見る人が見れば質の高さは間違えようがない。人々は感心し、新しい統括はいい人材を見つけられたものだ、と口々に言い合った。


どこか舞台で人が歌ったり演奏があったり、飲んだり食べたりまた挨拶したり、をしばらく繰り返していると、トールと緑の少女がステージに呼ばれた。

天使エリア統括として、新任の挨拶をすることになっているのだ。
互いに軽くうなずきかわしてステージに向かう。トールが簡単に自己紹介をした後、かねて打ち合わせてあったとおり、緑の少女によって例の計画の説明が行われた。












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◆【銀の月のものがたり】 道案内

◆第一部 目次

いよいよ、緑ちゃん発案になる計画のお披露目です~
日蝕のときいろいろやってたアレですね(笑)
お洋服の描写が詳細なのは、フレデリカママがこうやって作ったのよ~って教えてくれたから。
私が感知したわけではございません^^;
でも素敵なユニット服ですよね~。フレデリカママありがとう♪


昨日からのゲリラヒーリングにも、たくさんのご参加ありがとうございます。
一晩でカウンタ振り切ってしまい、ちょっとびっくりw
まだまだコメント書き込めますので、お待ちしております~^^



コメントやメールにて、ご感想どうもありがとうございます!
おひとりずつにお返事できず、本当に申し訳ございません。
どれも大切に嬉しく拝見しております♪
続きを書く原動力になるので、ぜひぜひよろしくお願いいたします♪


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Comment

お洋服 

フレデリカさんデザインのお洋服素敵ですね~~うっとり。さすがいつもハイセンスです!!!見に行きたい~~。

緑ちゃんの計画、いったい何なのかとっても楽しみです!!
  • posted by マイ 
  • URL 
  • 2009.08/11 10:19分 
  • [編集]
  • [Res]

Re:【銀月物語 85】 星合の夜に 1(08/11) 

いつも素敵な物語を読ませていただいて、本当にありがとうございます♪
(↑一斉ヒーリングのテーマもちょうど「ありがとう」だし、
たまにはお礼くらい言わないとバチがあたりそうなくらい
いつも楽しみに読ませていただいてるので)

緑ちゃんの計画、私も本っ当~に楽しみです!!
いったいどんなことを始めるんでしょう!?
  • posted by たまねぎ 
  • URL 
  • 2009.08/11 14:37分 
  • [編集]
  • [Res]

誰かイラストを~ 

ファッションに無知な私には、がんばってもドレスやスーツが想像しきれなくて悲しいですー。
誰かイラストをアップしてくれないかな・・・。

一斉ヒーリング、夕べ初めて夫も受けてみました。常に体温が高くてホカホカしている人なので、私みたいに体が温まる感覚はなかったのですが「眉間が痛い」と言っていました。平静を装っていたけど、今まで半信半疑だったから驚いていたと思います。
  • posted by さいまま 
  • URL 
  • 2009.08/12 05:10分 
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さつきのひかり

Author:さつきのひかり
物語を書くこと、一斉ヒーリングをすること、それに太極拳とケルトハープが趣味♪
最近はワイヤーワークにもはまり中。

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ルシフェルの翼Calling You 開発者。
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