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【銀月物語 77】 夏至祭り

陽の気が極まる夏至前夜。
銀樹の提案で、浮島クリスタル・ローズ・ガーデンでは庭でケルト音楽の夕べが催された。

トールやエル・フィンも、ハープやフィドルでメイン演奏者として参加することになった。
ちょうど数日前、マリアが夢の中でレオンに黒いティンホイッスルをあげていたので、もちろんレオンも参加。
銀樹自身はフィドルや相当の腕前のバイロンを叩く。緑の少女もハープと踊りやる!と増えたあちこちの家でハープを探したりしていた。
ケルト好きな下の娘もパーカッションで参加、シュリカンとエンガスは踊りと、メンバーもだんだん豪華になってゆく。

焚き火の前にあつらえられた簡素なステージには、見たこともないような楽器がたくさん並べられていた。
地球ではありえないような楽器や、この素材で作ったら普通は重すぎて弾けないというようなもの、下が三角になっていて、通常なら立たないであろう太鼓が浮いている、などなど。


宵闇の降りる刻限、会場にはトールの手で篝火と大きな焚き火が用意された。
古代ケルトでは夏至の日に健康を願って裸足で焚き火を飛び越えた、という歴史がある。さすがに火は危ないと銀樹が躊躇していたところへ、トールが燃え移らず熱くない焚き火の提案をしたのだった。
マリアがルキアで作っている乾燥ハーブが、たくさん籠に入れて火のそばに用意される。

夏の夜、幻想的な炎が参加者を歓迎していた。

「あっ、銀樹さんだ!」

勢い込んで早めに到着したレオンが駆け寄って挨拶する。お手伝いします、と申し出たレオンに、銀樹はプラチナブロンドの髪をゆらし、にっこり笑って「ハーブを火にくべてね」と言った。
少年がさっそく籠から両手一杯にとったハーブを焚き火にくべると、ふわっと薄い色の煙といい香りが周り中に広がる。

時間ぴったりになり、木陰から軽快なフィドルの音が流れ出した。銀樹だ。
トールとエル・フィンもそれぞれ離れた木陰に立っていて、焚き火前のステージに向かって歩き出しながら、一人ずつフィドルの音をあわせてゆく。

単音が和音になり、さらに三和音になり、演奏者が芝生の上の簡易ステージに着くと、いっせいにパーカッションなどのほかの楽器が鳴り出して賑やかになった。
今宵のパーティは裸足参加が条件。
焚き火を囲んで青々とした芝生にひかれたいくつものキリムに座り、気持ちよさそうに足を投げ出した参加者たちから盛大な拍手がまきおこる。

あちこちでビールジョッキの乾杯が行われ、持ち寄りの食べ物がふるまわれる。テンポのいい曲が続くうちに、手拍子や踊りもどんどん出てきた。エンガスが焚き火の中で炎の舞を披露する。

ひととおり盛り上がったところで、打って変わってしっとりした音楽に変わった。
ケルトに実在した、最後の吟遊詩人といわれた盲目の男の作った曲が、最初はいろいろな楽器をまぜて、2曲目はハープメインでゆったりと流れた。
人々が踊りや手拍子につかれた手をおろし、ゆるりと聞き入る。エル・フィンとレオンはステージを抜け、キリムに座ってビールやハーブ水を飲んで一息入れた。
炎を見つめる師匠の横顔を、レオンが熱心に見つめている。

そんな休憩をはさんだ後は、アイリッシュ・タップダンス。
シュリカンがタップ用の板をつくり、緑の少女やレオンが、合間をみてはクリロズの裏庭で練習していたのだ。

シュリカンがキリムの間を走り回って参加者を集める。皆タップシューズを履いて、紅潮した顔でダンス用の板に並んだ。
中央は緑の少女とレオン、そのすぐ後ろにシュリカンとレオンの姉のディジー。周りには名乗りをあげた何人もの踊り手たち。

銀樹の手が、ゆっくりとしたリズムでバイロンを叩き出す。トールのフィドルがそれを追う。
いかにも泥臭い、ケルトの田舎風のリズムから、踊り手たちはステップを踏み始めた。
シンプルなステップが何回も何回も繰り返されるうち、飛び入りの踊り手も増えてどんどん列になって増えてゆき、リズムも次第に早まってゆく。
観客から大きな歓声があがった。

緑の少女はレオンと手をつないでぐるぐる回ったり、シュリカンと並んで息ぴったりに同じステップを踏んだりした。
練習を積んだだけあり、キレのいい見事な足さばきだ。いたずらっ子のような大きな目でレオンを見ると、レオンは嬉しくなって掛け声を返した。

ぐるぐると螺旋のようなエネルギーが会場に生み出されてゆく。
ハーブを炊き込んだ火、酒、音楽に踊り……どこの世界にもありそうな魔術的な儀式の要素が集まり、緑の少女は踊るうちにトランス状態に入っていった。
頭の中を、リズムと体感と音楽だけが回る。


ダンスが終わり、マリアがソロでスカボロー・フェアを歌いだすと、少女はばったりとシュリカンの膝枕に倒れてしまった。ハープで伴奏をつけるトールが、シュリカンにうなずきかける。
この曲ではエネルギー的な調整を行うことになっており、分身のトールもシュリカンも、そして身体をここにおいた少女の中身も、すでにクリロズの機械部で同時に仕事を始めていた。

会場のマリアは、白い薄物を重ねた衣装になっていた。
ゆったり手を動かしながら歌うと、白い光がふわっと広がったり、虹色のオーロラのようなものが舞い降りてきたりする。

その傍にデセルも座り、竜の形を模した馬頭琴に似た楽器で伴奏をつけていた。胡弓とバイオリンを足したような、哀愁のある音色がゆるやかにハープと溶け合う。
まるでヒーリングのような透明感のあるエネルギーが流れ、聴き惚れるレオンの頬に涙が流れた。

余韻をもって曲が終わり、しばし穏やかな沈黙が流れる。

そのうち静寂を破って、銀樹のフィドルがしっとりと鳴りはじめた。最後の大合奏が始まるのだ。
銀樹のフィドルがしだいにスピードをあげてゆき、小気味よく走りだすと喝采が起こった。そのすぐ後をトールが受け、銀髪を揺らして濡れたような弾む音でメロディを奏であげる。

観客が歓声をあげると、今度はエル・フィンが自分の音をかぶせるように前に出てきた。音楽祭の始まりのころは、苦虫を噛み潰したような顔で演奏していた彼だが、祭りが進むにつれて楽しくなってきたらしい。
足でリズムをとりながら、身体を動かしつつ夢中になって演奏している。

トールは睫毛を伏せてゆったりした感じで音を響かせ、笑顔でときおりエル・フィンを見やっていたが、エル・フィンのほうはまったくトールを見ようとはしない。金髪を汗で額にはりつかせ、激しい演奏を繰り出しているが、それでも二人の息はぴったりと合っていた。

レオンがティンホイッスルを吹くのも忘れて、エル・フィンの演奏に見入っている。
銀樹とトールは顔を見合わせ、笑いながらフィドルで歌い上げた。パーカッションやハープ、竜頭琴が華を添える。
観客たちもきゃあきゃあ言いながら、賑やかに焚き火を飛び越えたり踊ったり。

アンコールも賑やかにすぎ、祭りが終わるとレオンが師匠の傍にやってきた。
片手にフィドルを持ったエル・フィンが、空いた手で養い子の頭をなでる。

「トール先生たちは?」

「仕事中だ。俺達は後片付けをしなくちゃな」

養い子の頭をぽんぽんと叩くと、エル・フィンはちらりと館の方角に目をやり、それから周囲を助けて後片付けの声をかけはじめた。

















<夏至の音楽祭~ケルトな夕べ~> クリロズイベントトピ
http://mixi.jp/view_event.pl?id=43665438&comm_id=3669474





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◆【銀の月のものがたり】 道案内

◆第一部 目次

物語第77話、エンジェルナンバーは夏至祭りと相成りました。
構成はぜんぜん考えてませんので(爆)、偶然・・・いえ上で計算されてる必然です。
私は起こったことを一生懸命おいかけて記述してるだけですから^^;
でも今って7月も終わり。まだ一ヶ月も遅れてまつね・・・あうorz


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Re:【銀月物語 77】 夏至祭り 

77ですね~♪
お祭り楽しそうですね
音楽は実際きいてみないと
なかなか想像しにくいです(T_T)
いつも続きを楽しみにしておりますo(^-^)o
  • posted by みかん&カエル 
  • URL 
  • 2009.07/28 21:27分 
  • [編集]
  • [Res]

Re:【銀月物語 77】 夏至祭り(07/28) 

うぅ……こういうエピソードを読むと、クリロズに行ける人がうらやましいです……。
ちょっととっつきにくそうなキャラのエル・フィンさんが
演奏してるうちにアツくなってしまうところがちょっと萌えですw
  • posted by たまねぎ 
  • URL 
  • 2009.07/29 13:10分 
  • [編集]
  • [Res]

おお! 

スカボロー・フェア好きです。
Gクレフのアルバムに収録されているのが個人的にオススメです(笑)
  • posted by エストウ 
  • URL 
  • 2010.04/27 17:06分 
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さつきのひかり

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物語を書くこと、一斉ヒーリングをすること、それに太極拳とケルトハープが趣味♪
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